MS-07C-5 グフ試作実験機
MS開発秘録
MS-07C-5 グフ試作実験機
FILE No.024
MS-07C-5 グフ試作実験機
MS-07グフは前作MS-06ザク(Ⅱ)の機体を大幅に改設計し、装甲強度と攻撃能力を増強したジオン初の陸戦型格闘戦用モビルスーツである。対モビルスーツ戦を視野に入れて設計された機体は、格闘戦においてはおそらく一年戦争でもっとも優れた機体として完成された。惜しむらくは搭載ジェネレーターの発電出力の都合で終戦までビーム兵器の搭載は適わなかったが、大戦末期に投入されたMS-14G型機よりも総合性能ではこれを上回るものがあったとの評価もあり、同じく格闘戦用に特化させたモビルスーツMS-18型の設計開発に充分な実戦データを供することとなった。
MS-07型は本来の正式採用枠ではMS-07B型がその本命として標準配備の対象とされたが、この極めて素性のいい機体を利用していくつかの派生型が試作されている。代表的なものは飛行型Hシリーズが広く知られているが、現地改修キットを利用して作成、事後承認を受けた重戦型Cシリーズがある。この例においてはヨーロッパに配備された改良型MS-07C-3が有名で、突撃型に特化させた機体は両腕をMS-07H同様マシンガン方式に改め、着脱式マガジンによって携行弾数を大幅に増加させている。また一部の機体を除いて拡大口径の85mm砲に換装していたことが確認されている。
Cシリーズの特別機番として正式承認されているものの資料が少ないMS-07C-5型については、長らくツィマット社で開発中であったYMS-09ドムのための実証実験機であるとされてきたが、MS-07B型のライセンス生産を行っていたツィマットの製造工場で製作された機体であることと、実際にはジオン地球攻撃軍から管理運営を引き継いだ突撃機動軍の指示で製作されたことが統合整備計画概要によって明らかとなった。09型の開発で製造された新造規格のメインモニター カメラ システムとヒート・サーベルの実装試験を先行させたもので、目的としては重モビルスーツMS-09ドムの熱核ジェット・エンジンの調整期間に先行してこれらの実戦テストを行うためであったことが、戦後の調査で担当技術部所属者の証言によって明らかとなっている。この機体では07型の機体に09用補助ホバー走行用推力装備をダウンスケール化してレイアウトしており、正式採用型の偏向フィールド装置こそ搭載していないが、07級のモビルスーツでも09型同様の運用が可能かどうかを検証するために軍部から試作指示が通達されたという。
実際に製作された機体は少なくとも5機が用意されていたとの証言もあり、オデッサ作戦の際に夜襲部隊で3機が使用されたことが近年地球連邦軍の記録画像で検証確認されている(地表を高速移動する小型のドムであると報告されたものが本機である説が濃厚)。