MS開発秘録

MS-06R-2 ジョニー・ライデン専用高機動型ザクⅡ

MS開発秘録

MS-06R-2 ジョニー・ライデン専用高機動型ザクⅡ

FILE No.013

MS-06R-2 ジョニー・ライデン専用高機動型ザクⅡ

MS-06R-2 ジョニー・ライデン専用高機動型ザクⅡ

MS-06R-2は、ジオン公国軍の次期主力宇宙戦用モビルスーツ選定のためジオニック社によって製作された機体である。汎用宇宙機としての側面を併せ持って開発されたMS-06型モビルスーツも、戦闘状況の進捗に対しては旧式化の兆候も見えてきており、特に地球方面軍用に開発された局地戦用モビルスーツ群はそれぞれの環境に特化した性能を示していたことから、宇宙空間の戦闘により高い性能を持つモビルスーツ開発が総軍の指示で各社に伝えられていた。
この発令に先駆けて総帥直轄の本国防空隊司令部と近しい位置にあったジオニック社では、連邦軍が実戦配備を進めているとされる新型モビルスーツの情報を得た時期から、XMS-11の仮承認番号を得て次期主力モビルスーツの開発に着手していた。しかし携行用ビーム兵器と搭載ジェネレーターの小型化に手間取り、先の地球方面軍に供給する局地戦用機の開発にも注力を余儀なくされたことでその作業には遅延を生じていた。そこへ浮上したのが次席開発メーカーであったツィマット社が同社の地上用局地戦闘機MS-09ドムを宇宙戦用として転換設計を行い承認申請が行われた結果、次期主力機選定に臨むことが明らかとなったことであった。MS-R09(後にMS-09Rに改称)仮称リック・ドムと名づけられた同機に対してジオニック社はMS-11の開発順位を繰り上げることで対処を試みたが、この段階では11型として稼動できる状態にはほど遠いとの結論に達し、急遽要求性能にもっとも近いR型を一部11型仕様に改装することでトライアルに参加を決定した。審査までの時間を利用して、先述の携行型ビーム兵器の開発を並行させていたことが後に開示されている。
競作機として提出された機体は約80機として製造中止となっていたMS-06R-1Aを大幅に改修したもので、脚部ロケットエンジンの増加装甲、推力を300tクラスに増強したメインエンジンと燃料搭載量18%増加、機体各部装甲材の軽量化と耐衝撃性の向上に加えてビーム兵装の携行化が織り込まれていた。外見は従来に比べてシルエットは大型化しているものの、やはりザクの派生型である様に見えたが実際にはR-1A型をベースとしているので、旧式となったF型から比べるとほぼ別の新型モビルスーツと呼んで差し支えない内容に仕上がっていた。特に操縦系については従来のR-1A受領パイロットからの改善要求も取り入れられており、新規に設計し直した対面搭乗式のものに改められ、コクピットはシートスペースも含めてコンソールの位置調整に自由度が与えられていた。正面の装甲は従来と同様のため、戦後の資料調査で初めてこのことが明らかとなった。
試作がぎりぎり間に合った1号機はグラナダ基地で行われた公開テストでエリオット・レム中佐によって操縦が行われ、対モビルスーツを想定した模擬空戦、最大戦速での対艦攻撃能力の高さを証明して見せた。この1号機にはMS-11用テストベッドに載せられていたジェネレーターが積み込まれビーム兵器の使用に希望が託されていたが、携行式ビーム・ライフルの出力に足りず、一旦はR-1A用のものに換装し直されている。しかし戦後開示された資料ではもう一度MS-11用改型ジェネレーターに換装されたことが判明しており、試作1号機で胴体の前後幅に差異が見られるのと、スカートの形状変更(推進剤タンクの容量を増加させるため)に相違が見られるのは、記録画像がそれらの状態をとらえたものであることが明らかとなった。脚部装甲材の形状に撮影時期によって相違が見られることもこれに裏付けられている。トライアル用には先行する1号機に加え、最終仕様の予備機3機が製作された。
トライアルにおける能力評価では、圧倒的な機動性能の優位性が認められたが、標準兵装となる360mmと420mmロケットバズーカの使用耐久性(特にこの点では09型の機体強度にアドバンテージがあった)と生産コストがあまりにもMS-R09より高騰化する(試算コストは3倍以上だといわれている)ことから、ジオニック社は次期主力機選定における総合評価でツィマット社に首席軍需メーカーとしての地位を一時的にではあるが譲ることになった。
グラナダに残された4機にはMS-06R-2の形式番号が正式に付与された後、研究素材用の1機を除きすべてジオン総軍本部に納入され、R型への装備転換を希望していた適正パイロットの下へ再配備された。これらのうちもっとも有名な1機が突撃機動軍第402機動歩兵大隊所属のジョナサン・ライデン(ジョニー・ライデン)少佐の乗機となったもので、赤と黒に塗色された機体は戦中の広報誌で新鋭機として喧伝された際、軍事ジャーナリストの間で赤い彗星の搭乗機だとする説が唱えられた。しかし実際にはライデン少佐の機体がシャア・アズナブル大佐のものと誤認されていたことをあえて軍部が放置したものであることが戦後明らかになっている。

※本企画の構成、テキストは当時MSVの設定考証企画に参画していた小田雅弘氏の協力をもとにROBOT魂 ver. A.N.I.M.E.用に書き起こしたものです。公式設定とは異なる場合がありますのでご了承ください。

※本企画の構成、テキストは当時MSVの設定考証企画に参画していた小田雅弘氏の協力をもとにROBOT魂 ver. A.N.I.M.E.用に書き起こしたものです。公式設定とは異なる場合がありますのでご了承ください。

Product Tree

※画像はイメージです。実際の商品とは異なる場合がございます。

※画像はイメージです。実際の商品とは異なる場合がございます。