ジオン公国軍は、独立戦争の開戦に向けて人型機動兵器=モビルスーツの開発を、「ジオニック」、「ツィマット」、「MIP」という3つの軍需企業に託した。初期の開発競争においては、ジオニックの「MS-05 ザクI 」が制式採用され、残りの2社は開戦に向けて同機を量産するためのライセンス生産を請け追うことになる。ツィマットとMIPは、ライセンス生産を行いつつも、自社の機体が次期主力機として制式採用されることを目指してMSの開発を続けていた。
「MS-07C-5 グフ試作実験機」は、そうした状況の中で生まれたデータ収集用の機体であった。「MS-06 ザクII」に続き、北米のキャリフォルニア・ベースにて「MS-07 グフ」のライセンス生産を請け負っていたツィマットは、当時、MSの弱点である重力下での移動速度の低さを補う、高速移動を可能とする機体の開発を進めていた。バーニアを強化したランドセルと脚部に補助エンジンを装備することにより、MSの陸上での高速移動を可能とする機体を実現すべく研究開発を開始。ライセンス生産を請け負っていた「MS-07 グフ」をベースに、開発中の高速移動用のパーツを取り付けることでデータ収集を行っていた。さらに、視認範囲を広める十字型モノアイ、腹部動力パイプを覆うジョイントアーマー、新たな近接戦闘用の武装となるヒート・サーベルなどの新規パーツも取り付けられている。
グフをベースにしているため、便宜上「MS-07C-5」と型式番号が付けられたこの機体は、データ収集用に1機だけが作られた。この実験で得られた各種の実働データをもとに、ツィマットは「YMS-09 プロトタイプドム」を完成させ、後に「MS-09 ドム」として制式採用されることになる。
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