ジオン公国軍は、一年戦争開戦後の地球侵攻時に、地球を覆う海洋での運用が可能な、水中でも行動可能なモビルスーツの開発に着手する。水中用モビルスーツの開発にあたっては、気密性の高い宇宙用の「MS−06F ザクII」をベースに試作機が作られることになり、「MS-06M 水中用ザク」と呼称された。試作機は水中での移動能力を重視し、水流エンジンを搭載したバックパックを装備し、腕部と脚部には補助推進機を配置。さらに水中での姿勢制御や機体の浮沈を行うためのバラストタンクが増設された。
こうした機体の改良が進められたが、「MS−06F ザクII」をベースにしたからこその問題も発生する。水中稼働実験を行うと、関節部分への浸水が避けられないことが判明。可動部には防水のためのシーリングが施すものの問題の大きな解決にはならなかった。また、「MS−06F ザクII」をベースとした形状自体が水中での行動時に大きな抵抗となることも問題となった。この結果から、水陸両用モビルスーツは、水中での抵抗が少ない形状や関節機構を前提に設計・開発する必要性があると決定づけられた。
こうした結果を踏まえ、試作機として誕生した「MS-06M 水中用ザク」は、水陸両用モビルスーツ開発に向けたデータ収集が主任務となった。
生産された5機の試作機は、北大西洋の潜水艦隊〈シーサーペント〉隊に配備され、水中用のサブロック・ガン、ブラウニーM8タイプ240mm4連装ロケット・ポッドなどを装備して運用データが採取された。さらに、2機が増産され、地球各地に展開するジオン軍の各潜水艦隊での特殊対艦用兵装のテストを行うべく再配備される。その内訳は、2機が〈レッドドルフィン〉隊へ、〈グリーンサイレン〉隊と〈ナーガIII〉隊、〈マンタレイ〉隊へは各1機が送られ、〈シーサーペント〉隊には2機が残された。
この後、水陸両用モビルスーツの完成によって運用データ収集の任務から解かれた「MS-06M 水中用ザク」は、水陸両用モビルスーツとして再分類され、「MSM-01」の型式番号が付与されることになる。そして、一年戦争の後半にはオデッサ作戦で敗残したジオン公国軍兵が、地中海を渡ってアフリカ戦線へと合流する「地中海上陸侵攻作戦」において、その輸送や脱出を援護した〈レッドドルフィン〉隊によって実戦投入もされた。
戦後、「MS-06M 水中用ザク」は地球連邦軍に接収され、グリプス戦争時にはコックピットやフレームを換装した「マリン・ハイザック」として運用されていたという記録も残っている。
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