第31回 監督・メカデザイナー 河森正治

「VF-27 ルシファーバルキリー」、「マクロス・クォーター」、「VB-6 ケーニッヒ・モンスター」そして「YF-29 デュランダルバルキリー」・・・。これら新機体の開発を経て蓄積された技術力は、2011年10月、ついに究極のVF-25可変モデルとして結実の時を迎える。そこで、第1弾のアルト機以来、商品化にあたっての監修でご協力いただいた監督・バルキリーデザインの河森正治氏にインタビューを実施。リニューアルの経緯や手応えについて語っていただいた。

DX超合金 リニューアル企画の秘密
――DX超合金VF-25をリニューアルするという企画を最初にお聞きになった時の印象はいかがでしたか?
河森 早いですよね。以前のモデル(2008年発売のDX超合金 VF-25)もまだ現役ですし、リニューアルといえば、5年、10年後が普通ですから。 DX超合金VF-27の完成度がとても高かったこともあって、その時点でコレクターズ事業部さんから、「VF-27のノウハウでVF-25を作り直したいんです」っていうお話は聞いていて。とてもありがたいなと思いましたね。

――プロジェクト自体は、かなり以前からスタートしていたんですか?
河森 実はYF-29よりも、VF-25リニューアルVer.の開発が先だったんですよ。そこから映画に合わせて、YF-29が先行することになりました。発売は逆になってしまいましたが、途中まで作っていたVF-25リニューアルVer.の技術をフィードバックして、YF-29を作ったということですね。

河森監督が認めるリニューアルのポイント
――旧バージョンから今回のリニューアルVer.へ。実物を比べていただいた感想をお聞かせください。
河森 以前のバージョンも当時としてはとてもよく出来ていたんだけど、部分的に惜しいところがあるんです。たとえば、ファイター時に脚部のふくらみが上に出ていないこと。本来このふくらみが上に出ることで、横からのシルエットが薄く見えるんですよ。あとは機首まわり。玩具の安全性を考えると許容範囲なんだけど、もう少しシャープに出来たらよかった。あとは変形したときにロックが効きにくいとか、細かい部分が惜しいんです。ただ、このノウハウがあったからこそ、リニューアルVer.の完成度につながっているんですよね。

――リニューアルVer.をご覧になった印象は、いかがですか?
河森 まずファイター形態は、エンジンのふくらみが上に出ていることで、スリムさがちゃんと表現されていますね。先日、しばらくぶりにニューヨークに行ってイントレピッド海上航空宇宙博物館でF-14を見たんですけど、薄さ感は通ずるものがありますね。VF-25は尻下がりにすることで、厚みを感じさせないようにしているんですけど、それも意図したラインが再現されていますね。


旧バージョンで再現出来なかった、脚部エンジンブロックのふくらみ部分の露出
――ファンの方々の間では、リニューアルVer.のバトロイド形態のプロポーションの良さが衝撃的だったとも聞いています。
河森 バトロイドは初めて見たとき、みんな驚くんじゃないかな? プロポーションが旧バージョンとまったく違いますからね。変形もので一番難しいのは、プロポーションなんです。そういう意味では全形態を破たんなく再現できるDX超合金が、ようやく出来たっていう感じですね。
――そういう意味では、河森監督のイメージに近いアイテムといえるかもしれませんね。
河森 本来デザインで意図していたことが、ここまで再現されているのは、とても充実感がありますね。細かい部分では、特にロック機構がしっかりしているのがいいですね。カチッとロック出来るのは、超合金の醍醐味です。
ほかにも細かいエッジの出方が変化していて、全体的にシャープになっている。VF-27の段階でも進化していたと感じたんですが、このシャープさはリニューアルVer.やYF-29で大きく進化した部分だと思います。

旧バージョンでも遊んで欲しい
――初代DX超合金を持っている方も、ぜひ並べてみてほしいですね。
河森 同じスケッチ、同じ3Dモデルをもとにして、変形機構も同じでも、これだけ違うんだってことがわかりますからね。プロポーションのつきつめ方や、仕上げ方の変遷が分かる。これだけ短いスパンで、リニューアルVer.が出て比較できるのは、貴重なケースだと思いますよ。
あとは解釈の仕方でも楽しめるんじゃないかな?
以前のモデルは同じモデルのメーカー違い、たとえばロシア製VF-25って考えて楽しむのも面白いと思いますよ。イントレピッド海上航空宇宙博物館には、F-14やSR-71のほかにミグも飾ってあるんですが、考え方の違いが歴然なんです。そういう感覚に近いかもしれませんね。

――VF博物館みたいなイメージで楽しむといいかもしれませんね。
河森 量産前の最終試作とか、初期生産型と後期生産型って考えるのも楽しいでしょうね(笑)。たとえばF-18だって、初期型とスーパーホーネットはまったく違いますからね。
■リニューアルVer.についてファンの皆さんへ一言
河森 当初考えていたVF-25の姿を、現時点で最高の状態で再現されていると思います。ぜひ楽しみにしていてくださいね。
取材協力:株式会社ワールドフォトプレス
取材・テキスト:河合宏之 撮影:北原薫

河森 正治 (かわもり しょうじ)
1960年2月20日 / 富山県出身
原作、監督、演出、脚本、絵コンテ、メカデザインまでこなすビジョンクリエーター。20代初期でTVシリーズ「超時空要塞マクロス」に登場する"バルキリー"をデザイン、リアルな戦闘機がロボットに完全変形するメカニズムを世に送り出し、可変ロボットデザインの第一人者となる。演出分野においても、若干24歳にして劇場作品「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」で監督デビュー。以後も様々な作品で才能を発揮している。

バンダイのロボットトイ開発技術を結集し、最新キャラクターの完全商品化を実現するシリーズ。 常識を超えた超絶可変・合体ギミックが魅力。
- ©2011 ビックウエスト/劇場版マクロスF製作委員会
- ©2007 ビックウエスト/マクロスF製作委員会・MBS

