魂の骨格 第9回 原作者・商品監修 桂正和×造形師 竹谷隆之
2009-12-28 00:00 更新

ついに発売となった新カテゴリーMANGA REARIZATION の第1弾・ウイングマン。
 今回の魂の骨格は、漫画『ウイングマン』の原作者で、今回の商品の監修も担当している桂正和先生と、桂先生の専門学校時代の後輩であり現在も親交の深い原型製作担当の竹谷隆之氏の対談をインタビュー形式で紹介していく。
 彼らの、商品に込めた”魂”そして”こだわり”を感じ取って欲しい。
■ 『MANGA REALIZATION ウイングマン』製作のきっかけ
- 『MANGA REALIZATION ウイングマン』製作のきっかけはどこにあったのでしょう?
 僕がダメ元で、出さないか?と聞いてみたのがきっかけだと思います。
 僕は竹谷の造形のファンなんで、
 竹谷に僕の作品のキャラクターを作って
 もらいたかったんですよ。
 
 だから基本的には、もっとアレンジ加えて
 もらってもよかったんです。
 頭のモールドとか僕が言って入れさせたくらいで。 
 腹筋の部分の表現とかは、もう少しデザイン的でもよかったんですけど・・・
 
 でもウイングマンのファンのイメージもあるから、 
 そこは外さない程度のアレンジで、というのは気をつけましたね。
もっと悪いイメージでいいんならアレンジできますけど、
 そうなっていいキャラクターじゃないんで・・・。
なんか年取ったんじゃない? 
 若い頃だったら、きっともっと竹谷っぽいアレンジしたウイングマン作ってるよ。
 
 もっとグロいやつを(笑)。
それはないですよ!
 ウイングマンは、やっぱり正義のヒーローですから・・・こうなりますって。
 それに、変にアレンジしたものは誰も望んでいないわけで・・・。
と、思ってるのは幾多の修羅場をくぐり抜けた今だからだよ。
 20代の頃だったら、「俺が作るんだから文句言うな」ってもっとやってるって(笑)。
そんなことないです! 
 あとは最初にデザイン画を描かせてもらった時に感じたんですよ。
 シンプルですけどデザインに隙がないんですよね。
 アレンジできるのは細か~いところだけ。
 隙のあるデザインだったらもっと大胆にできますけど、
 ウイングマンはできません!
■ 原作者にして監修者としてのこだわり
青い色はちゃんと再現できているよね。
 自分としてはこの色がウイングマンの青ですよ。
 数ある商品の中で、一番僕のイメージに近いブルーです。
この青は桂さんの注文で、何度も作りましたから。
 藤岡(ユキオ)君が。
こういう藤色っぽい青じゃないと思ってる人、意外と多いと思うんです。
 週刊連載の時は、パステルでちゃんとこういう色で塗ってるのだけど、
 印刷だとなかなか再現できなくて。青は再現が難しい・・・。
 あとはソーラーガーダーもよくできてますよ。
 竹谷としては、肩の部分とかがソーラーのイメージだったんだろうけど、
 僕が胸の部分をクリアー素材にしてソーラーっぽくしようと言ったんです。
 そのほうがソーラーパネルだってよくわかる。
 フィギュアならそのほうがいいよね。
顔の部分にはかなりこだわって直しを入れられましたね。
 ソーラーガーダーのアゴ横のパーツの角度があと2~3度違う、とか・・・
 細かいんですよ。
顔自体の形状にもかなり直しを入れたよな。
 最初はもっと丸かったんだけど、本来のウイングマンの顔は
 卵に近い形なんですよ。
 フォルムは、これまでのウイングマンの立体物の中では一番イメージ通りに、
 ハンサムに出来てますよ。
顔の部分は、もう写メと電話で細かく直しました。
そうだね。
 ちょっと盛っては見せてもらって、「もうちょっとこうやって」
 「もうちょっとああして」みたいな。顔に関してはうるさく口出ししました。
もう、どこをどう直したのか覚えてないくらいです。
やっぱりそういうフォルムは描いてる人間じゃないとわからない部分があるんですよ。
 これが(MANGA REALIZATIONの商品の顔が)ウイングマンの顔の形です。
あとは頭のスジも「第1話の扉イラストでちゃんと描いてるんだよ!」
 って言われて。単行本見ましたけど印刷でつぶれてて見えない(笑)。
そうなんですよ。1話目の見開きの扉には細かいモールドが入ってるんですよ。
 それ以降は省略して描いてませんけど!
 あとはこれはフィギュアだとどうしようもないかも知れないんだけど、胸のWの部分は本当はプレートじゃないんですよ。
- 今回、桂先生の描かれたイラストを見てわかりました!
 腕の青いラインとも一体化しているんですね。
そうなんですよ。これはこれまで出ている商品もそうなんですけど、
 みんなプレートになっちゃうんですよね・・・。
 本当はもっと生物っぽいというか、アーマーじゃなくて柔らかくて身体と
 一体化しているものなんですよ・・・。
 まあ当時俺が作った着ぐるみもプレートだったからね(笑)。
 可動フィギュアは、そうなるのはしょうがないのはわかるんですけどね・・・。
 ここはこだわりの部分なんです。
 あとはつま先の部分。鳥をモチーフにしてるので、デザインでは
 先のとんがりが下に向いているんですよ、歩きにくいくらいに。
 そこはちゃんと再現してくれましたね。
■ 造形師としてのこだわり
- 竹谷さんとしてこだわった部分はありますか?
今回は自分がどうしたいかというよりも、桂さんの味というか、
 今ウイングマンがどうあるべきかと考えただけで・・・。
こだわった部分はないの!? 愛はないの!
デザインとフィギュアとしてパーツの厚さとかを両立させるというところ
 は考えましたけど、キャラクターとして完璧に立っちゃってるものですから、
 変に変えたくないなと・・・そこが愛ですよ!
ふ~ん・・・(笑)。
いやもう、デザインが完璧なんですよ!
 若い熱さというか、20歳そこそこの若者がねえ・・・。
(笑)。でも角の形は竹谷のアレンジなんです、ちょっとねじれてるような部分は。
 これは「カッコいいなぁ」ということで、竹谷が作ったままにしました。
あとは・・・こだわりじゃないですけど、赤と黄色バージョンも欲しいですよね。
 バンダイの企画担当の方には「出して!!」って言っているんですけどね。
 色違うだけですからすぐ出来ますよ!
- 個人的には、ガーダーも欲しいですけどね・・・。
ええ~?!マジで!
 あれはもう、原稿に直接「こんなもんかぁ~」って描いたんですよ?!
- あの左右非対称なところが・・・。
それは完璧に『宇宙刑事ギャバン』へのオマージュなんだけど、
 やっつけで描いたからなぁ・・・。
 このパーツどうなってんのかよく解らない、みたいな・・・
 全然好きじゃないんですよ(笑)。
じゃあガーダーは、買った人に改造して作ってもらいましょう(笑)。
それはキミがそういう才能があるだけで、普通改造なんてできないでしょうが!
いやいや、俺が子供のころはみんな改造したりしてましたよ。
 最近はプラモデルでもなんでも、出来がよすぎるんでそういう手を動かすことを
 しなくなってると思うんですよ! 
 それは非常に困ったことで、造形師として言わせてもらうと、こんなじゃあ業界に
 若手が入ってこないんですよ。
へ~。なるほどね。それはキミがダメにしてるってことなんじゃん?
いやいや・・・(笑)。
■ 桂×竹谷、最強タッグの今後は・・・?
MANGA REALIZATIONの次は荒木(飛呂彦)先生のバオーなんでしょ?
 次はゴージャスアイリーンとかどうかな?
- 荒木先生の作品じゃないですか!?
あ、いや、なんとなく・・・(笑)。
 私の作品で次はというと、ゼットマンを『竹谷さん本人に』ちゃんと作って
 欲しいんです!
そうね・・・(笑)。僕もやりたいですよ・・・。
 でも手伝ってはもらいますけどね。
手伝ってもらうんかい!!
だってズボン履いた下半身と、ズボン履いてないバージョンと・・・
 とかあるじゃないですか?
おお~。なるほど、そこまで考えてるんだ!
羽根がはえてるやつとかもね。
羽根とかマンガには出てきてませんけど・・・
 じゃあキミにデザインしてもらおうか!
 あと竹谷がデザインしたフナムシ怪人とセットにする?
フナムシ?!
 あれはきっと金型代がとんでもないことに・・・。
じゃあ台座をフナムシにしようよ。
ああ、それなら・・・。
- フナムシは竹谷さんのデザインなんですね。
フナムシとエビ怪人、あとアルファスも竹谷のデザインです。
- ゼットマンが出るならアルファスも欲しいですよね!
そうだよね!じゃあフィギュア向きに、漫画でもスーツに
 透明パーツ増やそうか?
- ところで、桂先生はパッケージイラストで久しぶりにウイングマンを書いてみてどうでしたか?
20年前と同じように描こうと思ったけど、あんまり変わってない感じもするし、
 変わった感じもするし・・・。
ちゃんと紛れもない桂先生本人なイラストなんで、すごくいいですよ。
ん?そお?久しぶりにしては、上手く描けたかなって思うけど・・・。
- シンプルだから、難しいのかなって思っちゃうんですけど。
シンプルだから、変わらず描けるのかも知れないですね。
- では最後にファンのみなさんにメッセージを!
商品を買って頂いた人は、本当にいろいろ自分なりに改造して欲しいですね。
 ここが気に入らないなと思ったら、自分で手を動かして欲しいです。
 そういうのも楽しいと思います。
僕なりにウイングマンファンが喜んでもらえるように一生懸命やったんで、
 受け入れてもらえたら嬉しいなと思いますね。
 俺はもう、心はゼットマンに行ってますけど!(笑)。

1981年週刊少年ジャンプに掲載された『転校生はヘンソウセイ!?』でマンガ家デビュー。1983年同誌にて『ウイングマン』連載開始。
以後、『電影少女』、『I"s』などヒット作を飛ばし、現在は週刊ヤングジャンプ誌にて『ZETMAN』を連載中。

造形師、多数のガレージキット、原型製作など様々なジャンルで活躍。
バンダイのS.I.C.シリーズなどの造形を担当。
近年は映画・ゲーム等の造形物や、クリーチャー、メカデザインなどを担当している。
そして今回のお二人のSPECIAL TALKはこれで終わりません!
 2009年12月1日発売の徳間書店 ハイパーホビー 2010年1月号(Vol.136)でも
 お二人の出会いのエピソード、桂先生の好きな特撮ヒーローなどなどが
 語られています。そちらも要チェックです。
■ 魂ウェブからプレゼント
 今回の対談を記念して、魂ウェブより下記の商品を各1名様にプレゼントします。
 <プレゼント賞品>
 ・桂正和先生&竹谷隆之氏直筆サイン入りMANGAREALIZATION ウイングマン Normal ver. 1名
 ・桂正和先生&竹谷隆之氏直筆サイン入りMANGAREALIZATION ウイングマン TAKEYA ver. 1名

<応募方法>
下記のリンク先より、アンケートにお答えいただきます。
 
 応募期間:2009年12月28日(月)~2010年2月17日(水)
 
 ※応募期間は終了しました。
 ■ご注意
 ※お一人様1回のご応募とさせていただきます。
 ※当選者の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。
 ※ご応募いただきました個人情報は、本人を特定しない形で統計処理を行ない、プレゼントの発送業務以外には利用致しません。
(C) 桂正和 / 集英社・テレビ朝日・東映アニメーション




