魂の骨格 スーパーロボット超合金 グレンラガン発売記念 雨宮 哲 × 設計 坂埜 竜 スペシャルインタビュー 第2回
2012-12-04 19:00 更新
アニメ『天元突破グレンラガン』でダイナミックなアクションシーンの数々を手掛けた雨宮 哲氏、そしてスーパーロボット超合金 グレンラガンの設計担当であるコレクターズ事業部 坂埜 竜による魂の骨格第2回。
今回はマジンガー×グレンラガン×ガンバスターという3体のロボットがまさにクロスオーバーした雨宮氏描き下しのイラストについて、そしてこのイラストの発端となったクロスオーバージョイント、さらには“漢のドリルセット”について語っていただいた。
■クロスオーバーイラスト
――今回、ガイナックスさんとダイナミック企画さんのご協力のもと、雨宮さんにクロスオーバージョイントをコンセプトとしたイラストを描いて頂いていますが、いかがでしたか? |
坂埜:“クロスオーバージョイント”を採用することで、おそらくユーザーさんが自分なりにいろいろな遊び方を考えて楽しんでいただけるだろうと思ったんですが、この楽しさを一部のユーザーさんの悪ノリだったり裏仕様だったりにとどめず、広く知ってもらうにはどうしたらいいかと企画担当者と一緒に考えました。 その中で、「クロスオーバーをビジュアル化したイラスト」を公式に描き起こしていただいて告知に使わせてもらえないだろうかというアイディアが生まれて。そこで、ガイナックスさんとダイナミックさんに駄目元で相談したところ、快諾していただけたんです。 雨宮:久々にグレンラガンを描いたんで、懐かしい想いがありました。ただ、やはり忘れているところもあって(笑)。 坂埜:スーパーロボット超合金特有のディテールをきちんと活かして描いていただいているんです。 雨宮:『おもちゃのギミックである”クロスオーバー”をイラストにする』のがコンセプトだったので。なかなかおもちゃを基にしてイラストを描く機会ってないので、今回すごく嬉しかったですよ。 坂埜:あと、真マジンガーZのゴッドスクランダーに、金型の“押し切り”と言う技法を使っているんですが、これがちゃんとイラストのディテールに反映されているのが設計担当としてすごく嬉しいです。「すごい! やった!!」って(笑)。 雨宮:それは昔から脈々と続いている、おもちゃの設定をイラストに活かすと言う伝統ですかね(笑)。立体物にある太もものディテールなども、商品に合わせました。あとはバスターコレダーのスパークというか雷はTAMASHII NATIONSのロゴを意識してみました(笑)。ちょっとハートっぽく。 坂埜:なるほど! それ、エフェクトパーツを作らなくちゃマズいですね(笑)。それに、このイラストを基にした新たな解釈のスーパーロボット超合金、設計したくなりますよ。 雨宮:そしたらその試作に影響を受けてまた違うイラストを描きたくなって……キリないですから(笑)。 ――今回、マジンガーも描いていただいていますよね。 雨宮:マジンガーは大先輩で、ガンバスターももちろんガイナックスの大先輩なので、恐れ多い感じで描きました、かなり緊張して。アレンジしたら先輩方に申し訳ないので極力……。でも、今日改めてスーパーロボット超合金のガンバスターの顔を見たら、顎が曲がっていて(笑)。『あ、しまった!って、そこまでするか』って。 坂埜:はい。しちゃいましたよ。 雨宮:イラストもそうすれば良かったって思って(笑)。 坂埜:お互い、立体なり絵なりを見ると、どうしてもこうすればよかったというところが出てきますよね。 雨宮:相手より一歩、先に行きたいんですよね(笑)。 ■”もう1枚の”イラスト雨宮:魂ウェブのインタビューということで、掲載して欲しいなと思って、実はグレンラガンを描いてきたんです。 坂埜:あ、すごい!!! 雨宮:本当はこういう絵で描きたかったんです。 坂埜:それで作りましょうよ!(笑) 雨宮:それはガイナックスさんから、きっと怒られると思います(笑)。 坂埜:もっとこの絵を見せていただいていいですか? 雨宮:今朝描いたんですよ。 坂埜:この絵を見ちゃうと、またフツフツとインスパイアされていきます。今回の商品に盛り込みたかった…。 雨宮:自分以外の人の面取りを見るとおもしろいですよね。こういう解釈になるんだって。 坂埜:もっと早く見たかったです(笑)。 雨宮:本編で作画上のアレンジをしても、そんなに怒られないですけど、おそらく立体物として商品化になると、何か言われたりするんですよね? 坂埜:いや、でも、どうなんでしょうね(笑)。設計でも、アイテムによっては結構自由にやらせてもらっていますよ。グレンラガンも最初に「こういうのを作りたい!」とイラストを描いて、企画担当にプレゼンテーションして。 雨宮:そういうの描くとき、何かイメージして描くんですか? 坂埜:大張さんですね。 雨宮:やはり心に大張正己さんがいないとできないですよね! 坂埜:それも80年代の大張さん(笑)。まぁ、あまり素っ頓狂なイラストを描いて持っていくと却下されるので、そのあたりも踏まえつつですが、企画担当への提案は比較的自由です。 雨宮:でも、そういうことですよ。そのほうが楽しいじゃないですか(笑)。 坂埜:唇作っても怒られないでしょう、きっと(笑)。 雨宮:あ、グレンラガンなら怒られないかな。 坂埜:このイラストの首の解釈が堪りませんね。作りたいですよ(笑)。 雨宮:立体化されたときはきっと、このイラストから、またさらに違うものになるんでしょうね(笑)。グレンラガン、進化してなんぼですからね。 坂埜:立体を構成する”面”を見ていると、自分的にすごい”気持ち良い面”と”気持ち悪い面”があって。イラストの場合、立体感は影で表現されています。同じキャラでもその表現はクリエイターによって様々です。それを自分なりの解釈で”気持ち良い面”にしていくのが、苦しいけど楽しい作業ですね。 雨宮:絵だといくらでも嘘つけますけど、実際に立体化すると『あれっ…?』っていう。 坂埜:そんなときは立体としての辻褄が合わなくて、本当にひいひい言うんですけど、そこからひとつの”造形の答え”を導くのが設計の醍醐味でもあり、やりがいのある作業です。雨宮さん、このイラストには『こう描きたかった』っていう想いの丈が入っているんですよね? ■漢のドリルセット――オプションパーツとして、「漢のドリルセット」もグレンラガンと同時リリースになります。 雨宮:フルドリライズはなかなか商品化の機会がないので、嬉しいですね。 坂埜:フルドリライズだと、やはり存在感が半端ないですよ。ただ、気をつけて飾ってください。対象年齢15才以上なのでけっこうドリルが痛いです(笑)。でも、ほとんどのドリルがPVC製なので落下しても折れる心配はありません。 雨宮:いや、でもこのサイズで、よく再現できましたね。 坂埜:しかも、遊んでもポロリしないように、ホールドがあるんですよ。小気味よく装着できるように返しも付いているので、パチっとパーツがはまります。それとギガドリルにもジョイントパーツが付属しているので、「マジンガー武器セット」のロケットパンチエフェクトパーツも装着可能です。 雨宮:あ、これは”ダメ”ですね(笑)。小4が考えたような。すごい”ダメ”な感じが素晴らしいですね、これはいけないです(笑)。 坂埜:こういう遊び方は、いい意味でおもちゃっぽくってすごくいいなって。 “塗装済み完成品のフィギュア”よりも、本当に玩具的。フォルムは凝ったものになっていますが、全塗装ではないので、成形色を活かした光沢感とか質感とか、部分部分の差し色での塗装、ちらっと見える金属とか、“おもちゃ感”を演出するようにしています。 雨宮:がしがし遊べるおもちゃですよね。 坂埜:“おもちゃ”ですから。フォルムにも拘りますが“遊び”に対しても拘りを持って設計しています。 雨宮:来年の発売が楽しみですよね。 坂埜:来年1月中旬です! 雨宮:ぜひお年玉で買っていただいて(笑)。 クロスオーバージョイント、さらにクロスオーバーイラストの話の中、雨宮氏と坂埜氏は対談そっちのけで、クロスオーバージョイントを使ったスーパーロボット超合金の換装をする一幕も。ある意味、プレイバリューの高さが証明された対談でもありました。また、今回、サプライズで雨宮氏が急遽、描き下して頂いたイラストも登場。ちなみにこのイラスト、対談後、雨宮氏から坂埜氏へプレゼントされました。 |
雨宮 哲(あめみや あきら) アニメーター・演出家。 |
坂埜 竜 1972年4月生まれ。1991年バンダイに入社後、栃木工場・ボーイズトイ設計を経て |
©GAINAX・中島かずき/アニプレックス・KDE-J・テレビ東京・電通