MS開発秘録

MS-07H グフ飛行試験型

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MS-07H グフ飛行試験型

FILE No.022

MS-07H グフ飛行試験型

MS-07H グフ飛行試験型

ジオン公国軍の地球連邦軍地上基地強襲計画は、第一次降下作戦においてかなりの効果を上げた。そのなかでも特筆すべきは、モビルスーツを軸にした制圧拠点の驚くべき掌握速度である。地球連邦軍の航空兵力と地上部隊は、この装甲機動兵器にはほぼ太刀打ちできない状況にまでたちまち追い込まれた。しかし降下ポイントを「点」で掌握するジオン地上部隊は軌道上からの補給物資に頼らざるを得ない点もあり、兵站線を拡張することは容易ではなかった。初期目標はあくまで地球連邦軍の既存軍事要衝を狙っての制圧戦である。
地球攻撃軍で輸送・爆撃を担うガウ攻撃空母は輸送力には長けていたが、いかんせんモビルスーツ空挺部隊の降下作戦では減速飛行せざるを得ず、そうした状況では地球連邦軍の既存航空兵力の餌食となる場面も少なくはなかった。そこで導き出されたのがモビルスーツの移動力強化策である。段階をいくつにも分けて推敲されたプランにはモビルスーツ自体の移動力の向上、中型爆撃機を利用した複合作戦案も上げられた(ホバーボートのプランはYMS-09の計画に統合された)。後者についてはド・ダイYS中型爆撃機との連携運用で実証されており、その後もモビルスーツの移送手段としてこの運用は定着したと言える。
前者の目的はいかにモビルスーツの戦力を素早く前線へ移動できるかに焦点を絞り、驚くべきことにモビルスーツそのものに飛行能力を持たせようというものであった。すでにツィマット社では地上移動に熱核ジェット・エンジンを搭載したYMS-09の開発に着手しており、ジオニック社では先立って採用されたMS-07をベースにそうした飛行能力を持たせることで試作が開始された。すでに北米大陸のキャリフォルニアベースを中心に広範囲に制圧圏を獲得していたジオン公国軍は、製造ラインをMS-07Aに割り当てていることから、本国サイド3の第29工業用コロニーでこの機体MS-07H型の試作を開始。開発班には突撃機動軍よりアイザック・ウーミヤック大佐の任命人事とともにチームを編成、完成した1号機から4号機(YMS-07A型およびB型の増加試作機を開発母機に転用)はムサイ艦3隻による補給航路に乗せて個別に衛星軌道からHLVで降下輸送を行った。資材はキャリフォルニア基地のシャトルベースへ到着した後、アリゾナのフラットネイル空軍基地に移送されてビリー・ウォン・ダイク空軍大尉以下6名のテストパイロット チームとの合流を行っている。機体は固定武装としてB型仕様の5連装75mmマシンガン(給弾装置は大容量のものに変更)を両腕に内装しているが、飛行目的の機体であることから格闘戦用ではなく、近接戦を主目的とした重攻撃機として開発調整が進められた。
8週間の実動試験がスケジューリングされていたが、実はこの時点で実際のMSの中距離移動計画にはド・ダイYSの運用がほぼ決定されていたという(実動テストはほぼ同時に行われていた)。すなわちジオン総軍本部では、飛行可能なモビルスーツというカテゴリーの実験を行っていたにすぎなかったということになる。
実際このフラットネイル基地での実動テストでは、胴体の第二推進エンジンと脚部推進エンジンの同調に難航し、比較的調整の良かった3号機でのみ試験が続けられた。開発機番はH-4まで続けられたが、4号機の中高度飛行試験中に事故が発生し、開発計画は中断された。これらのMS-07H(1~3号機)は終戦時にキャリフォルニア基地で接収された後、地球連邦軍のジャブロー テストセンターで09型熱核ジェット・エンジンに換装したものへ改造され、研究対象機となった。

※本企画の構成、テキストは当時MSVの設定考証企画に参画していた小田雅弘氏の協力をもとにROBOT魂 ver. A.N.I.M.E.用に書き起こしたものです。公式設定とは異なる場合がありますのでご了承ください。

※本企画の構成、テキストは当時MSVの設定考証企画に参画していた小田雅弘氏の協力をもとにROBOT魂 ver. A.N.I.M.E.用に書き起こしたものです。公式設定とは異なる場合がありますのでご了承ください。

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※画像はイメージです。実際の商品とは異なる場合がございます。

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