魂の骨格 「超進化魂」商品化記念スペシャル対談!! デジモンクリエイターズトーク 角銅博之×渡辺けんじ×ボルケーノ太田
2017-06-12 19:45 更新
超進化魂ウォーグレイモンの完成を記念して、デジモンを築き上げたクリエイターである『デジモンアドベンチャー』シリーズディレクターの角銅氏、『デジタルモンスター』チーフデザイナーの渡辺氏、当時バンダイにて開発を担当しウォーグレイモンの生みの親の一人でもある太田氏の3名に、お集まりいただいた。
懐かしい当時の想い出から、現代に甦ったウォーグレイモンの雄姿、超進化魂のこれからについて、存分に語っていただこう。
――「超進化魂 01 ウォーグレイモン」をご覧になっていかがですか?
渡辺:昔の超進化シリーズと比べると、顔がだいぶ精悍になりましたよね。
角銅:ウォーグレイモンの顔が、真正面から見てもちゃんとカッコいい。
渡辺:いろいろと調整しました。どうしても当時のものは、顔がやっぱり可愛いんですよ。
角銅:ぷっくりしてたよね。
太田:いやこれはよくできていますよ。やっぱり当時と比べると玩具の文化が変わった印象があって、いまは大人の観賞に耐え得るものが求められているんですね。
渡辺:当時もだいぶ努力していましたけどね。「自分たちも欲しい!」というつもりで作ってたから。
太田:僕は大して努力しなかったけど(笑)。
渡辺:ええ!?(笑)。
太田:渡辺さんやウィズさんがすごく努力してくれていました。僕は「自分がやった」みたいな顔してましたけど(笑)。
渡辺:ちなみに、今回はダイキャストもたくさん使用していて豪華なんですよね。これで6,500円(税別)というのは、いまのモノ作り的には頑張っている気がしています。
太田:(触ってみて)可動も当時より進化してますよね。頭パーツが良く動くのは、表情つけができるという意味でも楽しいと思います。
▲工場からのテストショット品をいち早く撮影。シルバー部分がダイキャストになっている。
アーマーパーツ以外にも、股関節や足首にもダイキャストを使用している点がポイント。
――渡辺さんは、パッケージ用に改めてウォーグレイモンを描かれていかがでしたか?
渡辺:今回は超進化魂のフィギュアのプロポーションに寄せたかたちで描かせて頂いているので、ちょっと重厚感があるようにカッコよく描きながらも、背中の形状は盾というよりは、少しだけアグモンの頭みたいにしてるんです。
――「超進化魂」シリーズの監修のポイントは?
渡辺:まず企画担当の西澤さんのこだわりがすごかったんで、「形状としてはこれでいいですよね!?」「あ、いいんじゃないでしょうか」みたいな感じでした(笑)。楽しかったですね。
角銅:アグモンからウォーグレイモンにキチンと進化してくれるというのが、嬉しいですよね。実は『デジモンアドベンチャー』を作るとき、アニメ側から2つだけ条件を出していて、ひとつは「玩具をちゃんと出すので、ストーリーはこちらでやらせて欲しい」ということ。もうひとつが、「デジモンは進化するけど、エネルギーが尽きたら一旦元に戻る」ということだったんです。
渡辺:元の携帯ゲーム機『デジタルモンスター』だと、商品の特性上、進化させていくゲームなので戻らないんですよね。
角銅:こちらとしては、常にグレイモンを連れて歩くって(作画・演出的に)大変だし、戻すことによって毎回進化シーンを入れられるから、それを番組的な特色にできるかなというのがあったんです。一種の変身モノにしたかったんですね。太田さんは最初すごく反対していて。でも最終的に受け入れてもらった。それがなかったら、アグモンが成長期から究極体のウォーグレイモンにワープ進化する玩具もありえなかったわけですよ。
太田:最初すごく反対してたって言われるんですけど、全く憶えてないんですよね(笑)。
渡辺:いやいや、反対してましたよ(笑)。でも僕も反対してたんですけどね、最初は。携帯ゲーム機と違うのがおかしいという理由で、ウィズとバンダイとで反対した憶えがあります。でも結果、すごく良かったと思いますね。
――ちなみに当時の超進化シリーズをご覧になったときの印象は?
角銅:ちゃんと変形するんで、それはビックリしたんですよ。
太田:ウォーグレイモンなんかはすごくて、自分のなかにも「いいモノ作ってる」感はありましたね。アグモンのときに手の内側にツメが残ってても「これはこれでいいの!」って言い切ってかまわない感じ(笑)。僕が師匠(野中剛氏)から怒られたのが、進化シーンで、背中のブレイブシールドに勇気の紋章がドーンと付くじゃないですか? で、「あれは印象的に演出されているのに、後ろから見たら蛾みたいになってる!」って言われて、謝ったのを憶えています。パタモン(エンジェモン)も怒られたらしいですね。あんまり記憶にはないですけど…
渡辺:怒られましたよ(笑)。顔をぱっくり真ん中で割ってるじゃないですか。「キャラクターの顔を割るなんて、ありえない!」って怒られました。「でもそうしないと作れないですよ」と、シレッと言って終わりましたけど(笑)。
渡辺:ウォーグレイモンは、玩具として超進化するって決めてからデザインを作ったんでしたっけ?
太田:メタルグレイモンが究極体になるんだから、人型の騎士っぽい、竜騎士のようなデザインにしたいと決めてたんですよ。そういえば腰垂れのパーツは、玩具で変形させるために付けたような印象が……。
渡辺:ウォーグレイモンに関しては、(アニメとデザインを)並行してやってたような気がします。だってほら、太田さんが最初に描いた「俺のウォーグレイモン」の背中には盾がないじゃないですか。たしか、どうしてもアグモンの頭を割らないと作れないってことになって、背中に何か付けることになったんだと思います。
角銅:割と早い時期に見本品が届いて、喜んで写真を撮ってましたね。作画参考用に、ギリギリできるかできないかくらいの時期だったかと思います。
――「超進化魂」の第2弾として、メタルガルルモンが出ます。
角銅:これは、ガブモンがとっても可愛いですよ。
――『DIGITAL MONSTER X-evolution(デジタルモンスターゼヴォリューション)』からアルファモンの試作も控えているそうですね。
太田:『ゼヴォリューション』、香港まで行って作りましたよね。
角銅:『アドベンチャー』『02』と、商品的なものは受け入れるけどストーリーはこちらで自由にやらせてもらうというスタンスでやらせてもらって、逆に渡辺さんやウィズさん、バンダイさんが考えたストーリーを映像にしたのが『ゼヴォリューション』なんです。
『アドベンチャー』でやらなかったことをやりましょうという、補完する立ち位置で関わらせてもらった。だから僕としては『デジモン』の仕事というのは、ものすごく『ゼヴォリューション』で終わった感があるんですよ。
だから今回のラインナップを聞くと、そこまで含めてトータルで、僕的に当時やった『デジモン』という塊を具現化して……『テイマーズ』的に言えばリアライズしてくれる、大変ありがたいシリーズだなと思います。
渡辺:角銅ワールドですよ(笑)。
角銅:全部揃うのが、大変楽しみですね。当時やっぱり、8体欲しかった。それはね、もう……。
太田:いや、そうは言いますけど、「当時本当に8体出したらみんな買ってくれたかなぁ!?」って(笑)。1体作るのにものすごいコストが掛かりますからねえ……。でもいまなら、土壌が温まってますからね。
皆さんの応援次第とはいえ、これまで出てなかったデジモンが出るはずなので、それでみんなの心の隙間を埋めて下さい。
――実はエンジェウーモンも図面ができています。
渡辺:これがちゃんとモノになるんですもんね。ぜひ集めて下さい。
――『ゼヴォリューション』があるのなら、『テイマーズ』や『フロンティア』、『セイバーズ』だってと可能性が広がります。
太田:そういうリベンジができる時代ですよね。昔だと商品作った後で「ああ、もっとこうしたかったな」というのがあったけど、リベンジできる土壌がいまはありますもんね。
渡辺:ウィズで初めて作った超進化シリーズが、コレクターズ事業部からハイターゲットへ向けて商品化されるなんて夢にも思いませんでした。こんな作るのが面倒くさいモノがまた出ると思わなかった(笑)。
18年経って、新たに命が吹き込まれるというんですかね。いままでできなかったことができている商品。改めて見てみたい、手に取って弄ってみたいと思う商品になっていると思います。ぜひ皆さんにも買って頂きたいです。
太田:売れないとシリーズ続きませんからね!(笑)
角銅:「どこに置こう?」って、いまから飾る場所を考えて下さい。いまでも当時の商品で押入れがひとつ埋まってるんだけど、最近また商品が出るようになったことでさらに増えてしまって……それは想定してなかった(笑)。
当時、『フロンティア』が終わったところで4作品まとめての打ち上げ、まあスタッフはあんまり変わらないんだけど、キャストもほぼみんな揃っての大規模な打ち上げがあったんです。
そのときにスピーチを求められて「『ウルトラマン』とか『仮面ライダー』みたいに、10年後20年後まで続くといいなと思います」って言ったんです。けど、まさか本当にこんなふうになるとは思わなかったですよ。
新作が続くのはともかく、当時の『デジモンアドベンチャー』のキャラクターを、こうやって再商品化して頂けるとは、本当にありがたいです。揃ったらいっぺんに机に並べたいですよね。
【プロフィール】
角銅博之
1959年9月28日、福岡県生まれ。元東映アニメーション所属のアニメーション監督・演出家。
『デジモンアドベンチャー』(1999)『デジモンアドベンチャー02』(2000)でシリーズディレクターとしてアニメ版デジモンのフォーマットを確立。小説版やドラマCD等にて独自の世界観を築き上げた。
続く『デジモンテイマーズ』(2001)、『デジモンフロンティア』(2002)に各話演出として参加。OVA『DIGITAL MONSTER X-evolution』(2005)にて再び監督を務めた。
主な参加作品に『遊☆戯☆王』(1998)、『トランスフォーマーギャラクシーフォース』(2005)、『タイガーマスクW』(2016)など。アニメーション自主制作集団「グループえびせん」で、短編作品も制作する。
渡辺けんじ
1966年3月21日、神奈川県生まれ。WOW FACTORY代表のキャラクターデザイナー。
当時所属していた玩具企画開発会社・ウィズのチーフデザイナーとして、携帯ゲーム機『たまごっち』シリーズのドット絵やイラストを担当。
続く『デジタルモンスター』シリーズでもメインデザイナーを務め、ドット絵も含めた各種デジモンのデザインや、公式イラストなどを多数手掛ける。
開発に参加した玩具に『マジカルウィッチーズ』シリーズや『キャラミーゴ』シリーズ、『レジェンズ』シリーズなどがある。
ボルケーノ太田/太田健介
1971年1月2日、東京都生まれ。元デジモン開発担当の声優。
1994年にバンダイに入社し携帯ゲーム機『デジタルモンスター』シリーズの企画開発に参加。デジモン名人ボルケーノ太田として各種メディアでも活躍した。
ウォーグレイモンのデザインは、氏が描いたスケッチを元に渡辺氏がまとめ上げたものとなる。『デジモンフロンティア』(2002)にてボルケーモン役で声優として出演。
バンダイ退職後の2016年『動物戦隊ジュウオウジャー』で正式に声優デビュー。現在は声優事務所・青二プロダクションに所属している。
写真協力:ワールドフォトプレス『フィギュア王』
©本郷あきよし・東映アニメーション
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