魂の骨格 第6回 俳優 倉田てつを
2009-06-11 00:00 更新
仮面ライダーBLACK、翌年の仮面ライダーBLACK RX、そして南光太郎役をされた倉田てつをさんへのインタビューです。
倉田さんのご希望もあり、メインの多忙な俳優業の傍ら、サイドビジネスとしてご自身がオーナーを勤めるステーキハウスにお邪魔しました。この場所はファンの方達との交流の場でもあるそうです。撮影当時のエピソードや思い出話などを伺いしました。
何事に対しても真面目で熱心、そして謙虚。そんな俳優、倉田てつをさんです。
■ 俳優デビュー&プレッシャー
仮面ライダーBLACKは6年ぶりの仮面ライダーでした。
石ノ森先生の強い思いは自分だけではなく、関わるスタッフにも伝わっていました。また、久々の仮面ライダーで周りの様々な方が注目していました。
撮影現場全体に絶対失敗できないという空気がありました。
そんな状態で始めましたが、結局BLACKとBLACK RXと2年続けてできた事に満足しています。
しかし僕は当時19歳で、仮面ライダーBLACKは俳優のデビュー作品でした。演技が下手なのは当然で、一つのシーンに何十回も撮り直しをしたりしていました。情けなくて泣いたこともあります。
そのかわり気持ちの強弱を前面に出して演技をました。当時見ていた方からは、芝居の上手い下手は関係なく褒めていただきましたので、結果として南光太郎の設定に合っていたと思います。主題歌もすばらしいです。自分の下手な歌が良かったかも。
2作目の仮面ライダーBLACK RXでは、自分の演技に自信がついていました。その頃には視聴率的にも人気がありましたし。 その反面、これまで何度か撮影していた原宿など繁華街での撮影はできなくなりました。埼玉や東北でロケをしていました。遠方だけになってしまったので体力的にも辛かったです。
■ 仮面ライダーBLACK、BLACK RXの魅力
仮面ライダーBLACKは、最初に見た時からカッコイイと思いました。
石ノ森先生は0号と名付けていまして、悪のライダーとして誕生させました。
それまでの仮面ライダー(1号~V3)からは緑から黒に変わった色だけではなく、デザイン的にも大きく変化がありました。僕の感じとしては、スーツを着ていた状態だったのが、一つの生命体になったという感じです。
また、手足が長くプロポーションも良いです。観ていたお客様も衝撃を受けたと思います。なのでフィギュアになってもカッコイイですね。最近のは手足が自由に動いて色々なポーズも付けられるので楽しいです。
ストーリーとしても、南光太郎が暗い過去を背負っていて、重くて影がありました。これも良かったと思います。 RXの時は「南光太郎は明るくしてほしい」とプロデューサーにお願いしました。そして南光太郎は過去を全て捨て新たな家族と出会い、キャラクターも明るくなりました。
僕としてはこちらの方が演技がしやすかったです。でも単純に明るくなっただけではなく「シャドームーン」がいたので、ストーリーも深みがあります。
■ 番組終了後の俳優、倉田てつを
仮面ライダーの2年間が終了後、俳優として色々な役をしてきました。
だけど周りからは30代前半まで「南光太郎」と言われてばかりいました。南光太郎のイメージが強く定着してしまった事は、自分自身良くは思えませんでした。
僕のデビュー作で演技も満足していなかった所もあり、忘れたいと思っていました。なので、この時期は番組を全く見直さなかったです。
当時は観なかった番組も、結婚して子供と観るようになりました。
下の娘は僕が変身すると思ってますよ。
一緒に観ている時に、当時を思い出して涙することもあります。今となっては自分自身にとっても大きな経験でした。
最近改めて仮面ライダーBLACK(RX)と南光太郎の人気を再認識しています。
なので自分自身もなるべく南光太郎の面影のままでいるよう、体調管理などにも努めています。
倉田 てつを(くらた てつを)
1968年9月11日生まれ
オフィス・K所属、1988年『仮面ライダーBLACK』の主人公・南光太郎役で俳優デビュー。
現在も映画や舞台を中心に俳優業に意欲的に取り組む傍ら、サイドビジネスとしてステーキハウスのオーナーも勤めている。