魂の骨格 S.H.Figuarts & S.H.MonsterArts 特撮ジオラマワークショップ 第1回「ガメラ、ビル街に吼える!」編

特撮ジオラマワークショップ 第1回「ガメラ、ビル街に吼える!」編

S.H.MonsterArtsやS.H.Figuartsの特撮キャラクターを使って、特撮テイストのカッコいいジオラマ写真を撮るためのワークショップが、いよいよスタート!
記念すべき第1回は、10月27日に発売された「S.H.MonsterArts ガメラ(1999)」が登場。
渋谷の夜景に現れたシーンをイメージして、ビル街のジオラマにガメラを登場させます!

※刃物、工具、塗料、接着剤などのご使用にあたっては、それぞれの取扱説明箇所を読んで正しく使用し、怪我や事故などのないようご注意ください。
※記事中で使用している工具・材料等に関するお問い合わせは受け付けておりません。
※商品を塗装するなど加工される際は、ご自身の責任において行ってください。


■怪獣映画のミニチュア美術のプロが教える!

講師は、特撮研究所の特殊美術デザイナー・三池敏夫さん!

講師は、特撮研究所の特殊美術デザイナー・三池敏夫さん!
平成ガメラ3部作やミレニアムゴジラシリーズなど、数々の特撮映画を手掛けてきた大ベテランです。
カメラのフレームを通すことで、“特撮な画”が出来上がる、特撮のプロならではのテクニックを見ていきましょう!


■小物入れでビルを作ろう!

身近に手に入るものでジオラマを作っていくのが、今回のワークショップのテーマ!
まずは、100円ショップでも手に入る、プラスチック製の小物入れを使ってビルを作っていきます。


まずは、ちょっと大きめの小物入れを、ガメラにちょうど合うサイズにしましょう。
小型のノコギリ「ピラニア鋸」を使って、カット。
ピラニア鋸は、100円ショップでもホビーショップでも売ってますね。
100円ショップで買ってきたグルーガン(価格は200円)を使って、切り取ったパーツを貼り合わせて箱型にします。


ここからが、小物入れの格子状のパターンを「窓」に見せるための工夫!
トレーシングペーパーをビルの内側に貼りこめるサイズにカットし、マジックでランダムに格子状の模様を描いていきます。
ここは、細かいことは気にしないで、大胆に描いちゃうのがコツ!
半分以上の窓をふさぐ目安で描いていきます。
描けたら、ビルの内側にテープで固定します。


これで、小物入れビルが完成。
トレーシングペーパーに描いた模様が、後々、窓明かりのランダムさの表現になって活きてきます。
これは、特撮現場のビルミニチュアでも使われているのとまったく同じ手法!
白い小物入れの場合は、裏から光を当てると透けてしまうこともあるので、裏から一度黒スプレーを吹いておけるとベスト。


■鉢底ネットでビルを作ろう!

100円ショップで買ってきたプラスチック製の鉢底ネットを使って、ビルを作ります!
目の付け所がさすがですね。


ネットを適当な大きさにカットして、L字型に折り曲げてビルの形に。
裏側に、今回はマスキングテープを貼ります。
光が透けるので、トレーシングペーパーと似た効果が出ます。
テープだと壁面に密着するので楽ですね。


ここでも、マジックでランダムに塗りつぶして窓明かりの変化を表現。
二面のみの簡単なビルですが、配置さえ工夫すれば写真に写るのは常に二面だけ。
下から見上げるアオリの構図を想定しているので、天井も省略しています。
写るところだけを作りこんでいく、特撮ならではの発想なんですね!




■書き割りビルを作ろう!

特撮の現場でも、画面の一番奥に見える街並みは、ベニヤ板に描かれた絵だったりします。
ミニチュアの奥に、この“書き割り”を置くことで画面の奥行きを表現しているんですね。
今回の卓上特撮では、お手軽にできる書き割りの作り方を紹介!

茶色の色画用紙と……再度登場、鉢底網。
色画用紙の上に鉢底網を置いて、黒スプレーを吹き付けます。
凹凸がある面とまっ平らな面があるので、平らな面を下にして使いましょう。


ネットを外すと、色画用紙に格子状の模様が。
もう、お分かりですね? これがビルの窓の表現になります。

コツは、ベッタリと一様に吹かずに変化をつけること!
そして、一度スプレーを吹いたら、ネットの位置を微妙にズラしてから、もう一度吹いてみます。
そうすると、立体感が出て窓枠っぽい感じが表現できるんです。




■既製品ビルを塗装しよう!

ビルミニチュアといえば、「魂OPTION ACT BUILDING」もあります。
簡単な塗装を加えて、よりリアルにしてみましょう。
短時間で効果を上げるなら、スミ入れ方式が効果的!


用意するのはアクリル絵の具と筆。


調色したアクリル絵の具で凹部分を中心にざっくり筆塗りし、表面をティッシュなどで拭き取ると、溝部分に塗料が残ります。
表面にも塗料が少し残りますが、これはこれで汚し塗装にもなって効果的!
もちろん、時間があれば、丁寧に塗装するのがベストです。




■街灯を作ろう!

画作りのアクセントのために、街灯を自作しましょう!

用意するのは、アルミ線と黒パーマセルテープ、再度登場のグルーガン。
黒パーマセルは、カメラ専門店で入手できます。


90度に緩やかに折り曲げたアルミ線の先端に、グルーガンで溶けた接着剤を点付け。
巻き付けるように付けてみましょう。


固まったら、黒テープで傘を作って、街灯っぽく整えます。
支柱部分に黒テープを巻きつけることで、根元の方が太くなる表現もできます。
これ自体は光りませんが、撮影時に光を外から当てることで発光を表現します。




■星空ホリゾントを作ろう!

撮影前に、もうひとつ! 背景の空を作りましょう。
今回は、夜景ということで星空にチャレンジ。

用意したのは黒いウールペーパー。これは、表面が起毛している紙で、光の反射を極力防ぐ仕様。
一般では手に入りにくいので、黒画用紙などで代用してもいいかもしれません。


これの裏に半透明のビニールを垂らして、基本のセッティング。


フレーム内での星の位置を想定しながら、目刺で適当に穴を開けていきます。


■ミニチュアをレイアウトしよう!

ミニチュアが揃って、いよいよレイアウトです!

まずはメインになるキャラクターを配置してから、カメラのフレームを決め、
画面内に見映えするようにビルなどをレイアウトしていきます。
配置してからフレームで切り取るのではなく、フレームの中に街を飾りこんでいく発想!
三脚などでカメラを固定して、フレームを確認しながらレイアウトしていきましょう。
今回は、巨大感を強調するためにアオリ気味のフレーミングにしています。


レイアウトのコツは、「手前に大きいビル、奥に小さいビル」。
擬似的に遠近感を生み出す、特撮美術ならではのレイアウト術です。
手前の街灯が遠近感をさらに強調してくれます。
上下にズラしただけの2本の街灯が、画面内では手前と奥に見える不思議!


一番奥には、書き割りビルを置きましょう。


■ライティングしよう!

今回は、夜景ということで、ライティングが凝りどころ!

100円ショップで買えるLEDライトや、電気屋で手に入るペンライトを使います。
照明に色をつけるために用意したのは、カラーセロハン。
通常の照明器具に使うと熱で溶けてしまいますが、LEDなら発熱しないのでOK!


大きなライトで当ててしまうと、全体が明るくなってしまって夜景ムードにならないのでNG。
こんな感じに、小さいライトで細かく街灯りを作ってあげるのがポイントです!
そして、街明かりで照らされているイメージなので、下から当てるのコツ。
今回は、照明用に手前に角材を固定しています。これでライトが固定しやすくなります。


燃える街のイメージで、一部のライトには赤いセロハンをあててあります。
ビルの内側からも窓明かりのイメージでライティングします。
街灯にもピンポイントで光を当てましょう!


■撮影しよう!

さぁ、いよいよ撮影です!

カメラはスマホでもOK!
なるべく画面の奥までピントが合うように、広角気味で撮るのがポイントです。
背景がボケてくると、いかにもミニチュアに見えてしまいます。

撮影した写真はこんな感じ!
アオリの構図とビルのレイアウトで、遠近感と巨大感が強調されていますね!
街灯も外からピンポイントで当てた光で発光しているように見えます。
街灯の遠近感にも注目!
鉢底網ビルの網の目の細かさが、遠くのビルに見えてリアルですね。


ミニチュアの配置は、実際にはこんな感じ。
実は、奥行きも極めて狭いジオラマですが、特撮ならではのレイアウトマジックで奥行きを感じさせる写真に仕上がっています。


腕のパーツを交換して、バニシング・フィストバージョンも撮影。
クリア成型の手にもライティングすることで、このように発光しているイメージに!



せっかく舞台を作ったので、別のキャラクターでも撮ってみましょう!

©円谷プロ ©ウルトラマンオーブ製作委員会・テレビ東京

今回は、「S.H.Figuartsウルトラマンオーブ オーブオリジン」でも撮影してみました。
キャラクターの顔や、ここでは武器にも目が行くようにライティングするのがポイントです。
ビルも、若干配置換えしてみました。


■嵐の夜にしてみよう!

今回はもうひと工夫!
京都のシーンのイメージもミックスして、嵐のイメージを加えてみることに。

用意したのは、黒画用紙とデザインナイフ。
稲妻の形に、デザインナイフで切り抜いていきます。


出来上がったら、裏からライティングして撮影。
この素材を、先ほどの写真に合成してみましょう!


合成するとこんな感じ!
コンピュータ上で描き足すこともできますが、こんな感じに透過光で素材を撮ると、
光のにじみ方がなんともオプチカル合成っぽくて、特撮チックな稲妻になります。

※オプチカル合成……光学合成とも呼ばれる、映像の合成技術。複数の撮影素材をひとつの画面に組み合わせるなど、フィルムを加工して合成処理を施す手法。現代の特撮作品ではデジタル合成が主流となっている。


さらに、黒バック前で霧吹きで降らせた雨素材を撮影。
撮影の際に、水に向けて光を当てて、雨だけを照らすのがポイントです。


雨も合成するとこんな感じに!
腕に覚えのある方は、デジタル上で色々加工してみるのも楽しそうですね!



■INTERVIEW 三池敏夫 PART 1


--おつかれさまでした!

 いやあ、楽しかったね! 時間を忘れてやっちゃったね。

--今回のジオラマワークショップのコンセプトについて伺えますか?

 なるべく多くの人が「こういうことをやってみよう」と思えるようなものにしたかったんですよね。だから、100円ショップやホームセンターで手に入るような、特殊じゃないものを使って作っていこうと。

--今回のジオラマは、カメラのフレームの中に街を飾りこんでいくのが、新鮮でした。

 通常ジオラマって、全方向どこから見ても作品として成立するように作るものだと思うんですけど、僕ら特撮の仕事をしている人間は、レンズを通してどう見えるかっていうのが勝負なんです。今回は、特撮の現場の人間ならではっていうことで、その考え方をジオラマ作りに持ち込んでみました。

--レンズを通して初めて出来上がるジオラマということですね!

 そうそう。例えば、今回のビル街のジオラマだと、手前にスケールの大きいビルを置いて、奥には小さいものを置いて、遠近感を強調しているんです。これも、特撮美術の基本的な発想。レンズを通すことで、空気感とか奥行き感が出るんですね。でも、レンズからちょっとでも目線が外れると、実はスカスカだったりしてね。

--特撮映像マジックという感じがします!

 そこは長年の蓄積でね(笑)。見上げる視点だと、視界にあまりビルが入ってこないでしょう?だから、ミニチュアの数が少なくても成立するんです。逆に、アオリの時に大事なのは、空が足りていること。だから、今回背景用のウールペーパーは広めに用意したんですよね。特撮の現場でも、セット内でアオると天井がバレちゃう。場合によっては、セットの天井に黒幕を張ったりもします。『ガメラ3』で、真アオリでガメラが渋谷に降りてくるカットとかね。

--ビルの作り方も、工夫が光っています。

 身近なものを使って「こういうのもできるよ」っていうのを色々やってみました。今回は夜景を狙ったので、電飾を仕込むことを前提にしてますね。100円ショップの小物入れとか鉢底網とか、規則正しく四角が抜けているものを使うと、ビルに見えるんですよ。そこにトレーシングペーパーなんかを貼って、裏から光を当てると窓明かりに見える。

--簡単な作りの書き割りビルも、奥行きを出すのに一役買っているんですね。

 昔スーパー戦隊シリーズで美術デザイナーをやった時に、結構やっていた技法なんです。テレビの現場はスピード勝負なところがあるんで、遠景のビルなんかはスチレンボードに型紙使って黒スプレーで窓の形を吹いたのを二面貼り合わせて。遠景で使うミニチュアとしては結構成立するんですよ。ないより、絶対あった方がいいっていう発想。今回は、紙一枚で作ったけど、あれに少しでも凹凸をつけたりすると、影が出るんでもっと立体感が出せますね。

--手前に置かれた街灯が、アクセントになっていました。

 あの大きさだったら、電球をつけなくても、丸っこくてツヤがあればそれっぽく見えるんですよ。それ自体は光らないから、光を外から当ててるんだけど、これは特撮の現場でも結構やることなんです。川北紘一監督の時代のメーサー車は、パラボラに電飾仕込んであったんだけど、光量が足りないから外から照明で当ててたりね。

--星空や稲妻の表現は、アナログ的な表現が逆に新鮮で。

 今なら、デジタル上の加工で全部できてしまうと思うんですけど、現場でできる方法ということであえてアナログで(笑)。雷なんかも素材を撮って後から足すっていう、オプチカル合成時代の方法を試してみました。この辺は、皆さん色んな方法を試してみてもらえると面白いんじゃないかな。

--三池さんは、ミニチュアを使った特撮の、どこに面白さを感じられていますか?

 現場で「ああでもない、こうでもない」って言いながら、あれこれやって段々よくなっていくっていうプロセスが楽しいんですよね。やればやるだけ、間違いなくよくなっていく。それをチームでやっていく満足感が、ミニチュア美術の面白いところかな。だから、今回みたいなジオラマは、もちろん個人でもできるけど、夏休みの工作感覚で親子でやったり友達と一緒にやったりしても面白いと思うよね。そうやってるうちに、もしかしたら、物凄い才能を発揮してくる人も出てくるかもしれない……っていう願いをこめてやっています。

--次回のワークショップもよろしくお願いします!

特撮ジオラマワークショップ、第2弾「オーブオリジン、雲海を飛ぶ!」記事は、こちら


【プロフィール】
三池敏夫(みいけ・としお)

 

三池敏夫(みいけ・としお)
1961年生まれ。特殊美術デザイナーとして、数々の特撮作品を手がける。
現在は、「特撮研究所」所属。
代表作:『鳥人戦隊ジェットマン』、平成ガメラ3部作、ミレニアムゴジラシリーズ、『巨神兵東京に現わる』、『進撃の巨人』、『シン・ゴジラ』、『精霊の守人』、『須賀川G作品/(仮称)ゴジラ須賀川に現わる』。
特技監督として、『大魔神カノン』、『ウルトラマンサーガ』も手がけている。



S.H.Figuarts S.H.Figuarts
「可動によるキャラクター表現の追求」をテーマに、「造形」「可動」「彩色」とあら ゆるフィギュアの技術を凝縮した手の平サイズのスタンダードフィギュアシリーズです。
S.H.MonsterArts S.H.MonsterArts
S.H.Figuartsで培われた、可動(アクション)フィギュアの技術を使用し、『怪獣(モンスター)』にフィーチャーしたアクションフィギュアシリーズ。それが『S.H.MonsterArts(エス・エイチ・モンスターアーツ)』である。

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